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診療報酬・調剤報酬 薬剤師 薬局経営者 2025.09.29 公開

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薬局の時間外等加算の算定要件を詳しく解説。夜間・休日等加算との違いとは

薬局業務における「時間外等加算」とは、通常の開局時間外の調剤で算定できる重要な加算です。この加算には、休日や深夜に対応した区分があり、地域医療への貢献を評価するものとなっています。一方で「夜間・休日等加算」は、開局時間内の特定時間帯に算定可能な別制度です。この記事では、こうした加算制度の算定要件や違いについて詳しく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

時間外等加算とは

時間外等加算とは

「時間外等加算」とは、薬局が表示している通常の開局時間外に調剤業務を行った場合に算定できる加算制度です。薬局が早朝、夜間や休日に地域の医療インフラとしての機能を果たしたことを評価するために設けられています。

時間外等加算には「時間外加算」「休日加算」「深夜加算」の3種類があり、それぞれ対応する時間帯や曜日によって区分されています。この加算は「夜間・休日等加算」とは異なる別の加算制度です。また、地域支援体制加算の実績要件にも含まれており、地域医療への貢献度を評価する指標のひとつとなっています。

時間外等加算の点数と算定要件

ここからは、時間外等加算の点数と算定要件について解説していきます。

点数

時間外等加算の点数は以下の通りです。

区分 点数
時間外加算 調剤基本料等の基礎額の100分の100に相当する点数
休日加算 調剤基本料等の基礎額の100分の140に相当する点数
深夜加算 調剤基本料等の基礎額の100分の200に相当する点数

「基礎額」とは、調剤基本料、調剤料、薬学管理料(特定薬剤管理指導加算等を含む)を指します。麻薬・向精神薬・覚醒剤原料・毒薬加算、自家製剤加算、計量混合調剤加算、重複投薬・相互作用等防止加算などの加算は基礎額に含まれません。

また、かかりつけ薬剤師包括管理料を算定する場合は、かかりつけ薬剤師包括管理料の所定点数を基礎額として取り扱います。

出典:調剤報酬点数表(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001218733.pdf

算定要件

各加算の算定要件は以下の通りです。

区分 算定要件
時間外加算 ・薬局が表示する開局時間以外の時間(深夜以外)に調剤を行った場合
・おおよそ6:00〜8:00、18:00〜22:00の間で算定可能だが、薬局が表示する開局時間内の場合は算定不可
時間外加算の特例 ・夜間における救急医療の確保のために設けられている保険薬局で、当該地域において一般の保険薬局がおおむね調剤応需の態勢を解除した後、翌日に調剤応需の態勢を再開するまでの時間において調剤を行った場合(6:00〜8:00、18:00〜22:00の間)
休日加算 ・休日(日曜日、国民の祝日、年末年始[12/29〜1/3])であって、薬局が表示する開局時間以外の時間(深夜以外)に調剤を行った場合
・休日であっても、薬局が表示する開局時間内は算定不可
深夜加算 ・22:00〜6:00までの間に調剤を行った場合
・この時間帯であっても、薬局が表示する開局時間内は算定不可

各加算は調剤行為ごとに算定され、処方箋受付時刻は各要件に該当する時間内でなければなりません。

算定時の注意点

時間外等加算を算定する際には、いくつかの点に注意が必要です。

まず、患者さんが時間外加算等の適用の有無を理解できるよう、薬局は開局時間を薬局内外に掲示しなければなりません。また、時間外加算、休日加算、深夜加算は重複して算定できない点にも注意が必要です。該当する時間帯が複数の要件を満たす場合は、もっとも高い点数の加算のみを算定します。

「かかりつけ薬剤師包括管理料」を算定している患者さんが時間外に来局した場合は、この「管理料」も基礎額として時間外加算が可能です。なお、休日加算と深夜加算は、地域の救急医療体制の一環として、休日・深夜に開局している薬局が対象となります。輪番制の当番保険薬局や、地域の広報紙やホームページで公表されている薬局が対象です。

つまり、休日であっても、通常開局している時間帯に調剤した場合は、時間外加算として算定できません。なお、オンライン服薬指導においても時間外加算が認められているケースもあるため、この点も併せて注意しておきましょう。

出典:休日加算について(東海北陸厚生局)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/kyuujitsukasan.html

出典:薬局による外来患者への夜間・休日対応、在宅医療における夜間・休日対応について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001211848.pdf

夜間・休日等加算との違い

「夜間・休日等加算」とは、薬局の開局時間内であっても、特定の時間帯(夜間・休日)に調剤を行った場合に算定できる加算です。これは「時間外等加算」とは異なる制度です。

「時間外等加算」(時間外、休日、深夜)は、薬局が表示する開局時間外の調剤においてそれぞれの要件を満たす場合にのみ算定できます。一方、「夜間・休日等加算」は薬局が表示する開局時間内の特定の時間帯であれば必ず算定できます。

薬局の開局時間外であったとしても、常態的に処方箋を応需する体制である場合(門前医院が診察を延長するなどして、調剤薬局の開局時間が延びている場合など)は、「時間外加算」ではなく、「夜間・休日等加算」の対象となります。
よくある加算対象例を以下に示します。

【開局時間が平日9時〜19時の薬局の場合】

・平日19時30分の調剤(一度営業を終了した後、患者さんの求めに応じて急遽開局した場合)
→時間外加算を算定可能

・平日19時30分の調剤(門前医院が診察を継続しており開局時間が延長した場合)
→夜間・休日等加算の算定

・日曜日10時の調剤(普段から日曜を開局時間内と表示している場合)
→夜間・休日等加算の算定

・日曜日10時の調剤(休日かつ開局時間外と表示しており、地域の広報紙に休日当番薬局として掲載されている)
→休日加算を算定

上記のように、薬局の開局時間の設定と実際の調剤時間の関係、処方応需体制の有無により算定できる点数が変わります。

夜間・休日等加算の点数と算定要件

ここからは、夜間・休日等加算の点数と算定要件について解説します。

点数

夜間・休日等加算の点数は「薬剤調製料」に対して40点が加算されます。加算の対象となるのは「薬剤調製料」のみとなるため、注意が必要です。

算定要件

夜間・休日等加算の算定要件は以下の通りです。

  • 薬局が表示する開局時間内であること
  • 以下のいずれかの時間帯に調剤を行うこと
  • 平日:午後7時から午前8時まで
  • 土曜日:午後1時から午前8時まで
  • 休日:終日

ただし、時間外等加算を算定する場合は夜間・休日等加算を重複算定することはできません。また、時間外等加算と同様に、薬局内外へ開局時間帯を掲示する必要があります。

夜間・休日等加算は、薬局の開局時間が上記の時間帯と重なる場合にのみ算定可能です。たとえば平日21時まで開局している薬局であれば、19時から21時までの間の調剤に対して算定できます。

出典:調剤報酬点数表(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001218733.pdf

出典:調剤報酬点数表に関する事項(厚生労働省)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000306319.pdf

時間外等加算と夜間・休日等加算の違いを理解して運用しましょう

時間外等加算は「開局時間外」の対応を評価する制度であり、夜間・休日等加算は「開局時間内の特定時間帯」の対応評価をするため、このふたつは異なる制度です。適切に算定するとともに、患者さんには「夜間や休日対応のための加算」と簡潔に説明し、その必要性を伝えることが大切です。

ウィーメックスは、時間外や夜間・休日の調剤業務の効率化にも役立つ幅広いソリューションを提供しています。レセプト請求漏れや間違いを防ぐ医事コンピュータ「PharnesX-EX」や、急患への対応機動力を向上させる「Wemex オンライン服薬指導」など、薬局DXを推進したいとお考えの方はぜひお気軽にご相談ください。

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著者情報

下田 篤男

下田 篤男 様

薬剤師・薬局経営コンサルタント
京都大学薬学部総合薬学科卒業。 卒業後は調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務。 総合病院門前などで管理薬剤師として経験を積んだのち、マネージメント業務にも携わる。現在は薬剤師として働く傍ら、医療記事の執筆、編集や薬局経営コンサルタントとしても活動している。


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