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レセプトのオンライン請求の全体像
レセプトのオンライン請求とは、医療機関が診療報酬を請求する際に、インターネットを通じて審査支払機関へ電子データを送信する仕組みのことです。
厚生労働省の資料によると医療機関から審査支払機関、保険者へとデータが流れる一連の流れが確認できます。


出典:厚生労働省「オンライン請求開始に向けて 必要な準備作業について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001239087.pdf)
レセプトは医療機関の収入に直結する重要な業務であり、請求の遅れや誤りは経営に大きなダメージを与えます。
かつては紙による請求が主流でしたが、2025年10月時点ではオンライン請求が標準です。さらに、2024年10月請求分からは返戻についても紙による返礼が廃止され、完全電子化が進みました。
ただし、レセプトの保存については、電子化が進んだ現在でも別途対応が必要です。詳しくは「レセプトの保存期間と保存方法を解説した記事」で解説していますので、あわせてご確認ください。
オンライン請求に対応するための4ステップ
レセプトのオンライン請求を始めるには、以下4つの手続きが必要です。
- オンライン請求に向けた準備
- 事業者へ発注
- 審査支払機関への申請
- 導入・運用準備

出典:厚生労働省「オンライン請求開始に向けて 必要な準備作業について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001239087.pdf)
運用開始まで、第三者との連携により進行する内容ばかりのため、計画的に進めるとよいでしょう。
オンライン資格確認のレセプト振替・分割機能とは
レセプト振替・分割機能とは、審査支払機関のオンライン資格確認導入に伴う、電子レセプトの資格変更を自動で「振替」「分割」する機能のことです

出典:厚生労働省「レセプト振替・分割に係る概要」(https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000836159.pdf)
なお、電子レセプトに付随する機能のため、医療機関がオンライン資格確認を導入しているかどうかは問いません。
振替と分割機能の違い
レセプトが振替されるか分割されるかは、当該月の算定日などの情報がすべて新資格に変更されているか、新旧の資格をまたぐかで決まります。すべて新資格に変更されたレセプトは「振替」の対象です。
たとえば、月の途中で資格が変更されたものの、実際の受診がすべて新資格の期間内であった場合は、振替として処理されます。
一方、新旧の資格をまたぐレセプトは「分割」の対象です。その名のとおり新旧の保険者に分割されて送付されます。たとえば、月の前半に旧資格で受診し、後半に新資格で受診していた場合などが該当します。
なお、振替・分割レセプトが社保から国保へ変更になっているケースでは、支払基金と国保連合の間でレセプトを交換するため、医療機関側の手続きは不要です。
レセプト振替・分割の対象外事例
新しい資格が判明してもレセプトの振替・分割ができず、保険者への請求後返戻されるケースがあります。振替・分割機能の対象は、受診日時点では資格を喪失していても、審査支払機関での資格確認時点で新しい資格がある場合に限られるためです。
厚生労働省が事例ごとにまとめているため、参考になさってください。
出典:厚生労働省「レセプト振替・分割に係る概要」(https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000836159.pdf)
返戻レセプトの対応方法
返戻レセプトは、2024年10月請求分からは紙による返戻が廃止されており、オンラインでの確認が必須です。
対応手順の概要は以下のとおりです。
- オンライン請求システムにログイン
- 返戻レセプトデータをダウンロード
- 返戻内容の確認・修正
- 返戻ファイルの送信
- 返戻ファイルの確定
なお、厚生労働省が手順の簡易版資料を用意しています。
出典:厚生労働省「返戻再請求のオンライン化についてのご案内」(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001281172.pdf)
より詳細な内容は医療機関等向け総合ポータルサイトに掲載されている「オンライン請求システム操作手順書」に記載されているため、対応困難時は手元に置いておくとよいでしょう。
返戻レセプトへの対応は、医療機関の収入が1か月以上遅延してしまうため迅速な処理が求められます。こちらの記事でも解説していますが、病名と診療内容との整合性や、カルテ記載とレセプト内容の合致などがチェックの基本です。再請求は速やかに対応できる盤石な体制構築が長期的には大切になるでしょう。
返戻レセプトの正しい理解と対応方法についての資料を用意しているため、ご活用ください。
資料の無料ダウンロードはこちらから:レセプト請求ガイド 返戻・査定を減らすためのレセプト請求の攻略
再審査請求の対応方法
審査結果に異議がある場合の対応である再審査請求は、以下2通りの方法があります。
- 紙の「再審査等請求書」で請求する
- オンライン請求システムの「医療機関再審査等請求ファイル」で請求する
※オンライン請求対応の医療機関はオンラインが原則
社保の場合は、社会保険診療報酬支払基金のホームページから、国保の場合は国民健康保険団体連合会のホームページに情報が集約されています。記載例やQ&A、相談窓口も掲載されているため、不明点は問い合わせて解決するのが確実です。
レセプトに強いシステムの紹介
ウィーメックスでは、50年以上のレセプトコンピュータ開発実績をもとに、レセプト業務に強い製品をラインナップしています。
クリニック向けには医事一体型電子カルテとして、完全クラウド型の「Medicomクラウドカルテ」、オンプレミス型とクラウド型の機能をあわせもつハイブリッド型「Medicom-HRf Hybrid Cloud」、クリニックとともに成長するレセプトコンピュータ「Medicom-HRf core」をご用意しています。
医事一体型電子カルテでは、カルテ入力内容をもとに算定可能な項目を抽出する独自のAI自動算定機能を搭載しており、算定漏れや返戻防止に役立ちます。長年培ったレセプト業務のノウハウが詰め込まれているため、正確な請求業務をサポートできます。各製品の詳細は以下よりご覧ください。
レセプトのオンライン請求に関するQ&A
レセプトのオンライン請求について、よくある質問と回答を3つ紹介します。不明点がある場合は、以下の内容を参考になさってください。
接続できない場合はどうすればいい?
オンライン請求システムに接続できない場合は、インターネット回線の問題か、オンライン請求システム側の問題である可能性があります。まずは自院のインターネット接続状況を確認し、問題がなければシステム側の障害を疑いましょう。
「オンライン請求システムサポートサイト」では、システムの稼働状況や障害情報などの最新情報の確認が可能です。また、同サイトの「困ったときは」のページには、カテゴリごとにQ&Aが掲載されています。接続エラーの種類や症状に応じた対処方法が詳しく説明されているため、トラブル解決の参考になります。解決しない場合は、サポート窓口に問い合わせてください。
オンライン請求はどうすれば始められる?
オンライン請求を始めるには、大きくわけて4つのステップがあります。
- オンライン請求に向けた準備として、院内の体制やシステム要件を確認する
- レセプトコンピュータや電子カルテなどの必要なシステムを導入する
- 保険医療機関届・オンライン請求利用申請・電子証明書発行申請を行う
- スタッフへの操作研修や接続テストを実施する
厚生労働省の資料でも手順が確認できるため、計画的に進めましょう。

出典:厚生労働省「オンライン請求開始に向けて 必要な準備作業について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001239087.pdf)
紙レセプトの請求はまだ続けられる?
2024年4月1日以降の新規請求は、オンライン請求に移行しています。紙レセプトによる請求は終了しており、現在は受け付けられていません。
もし、オンライン請求に対応していない場合は、速やかに移行手続きを進めてください。
まとめ
レセプトのオンライン請求は、2024年4月以降すべての医療機関に義務化されており、返戻についても紙による返礼が廃止されています。医療DX推進の波は大きくなっているため、早急な対応が未来の負担を軽減します。まずは、自院の請求体制の確認から始めてみてはいかがでしょうか。

