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クリニック開業 医師 事務長 2025.09.18 公開

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医師の開業規制はいつから?外来医師過多区域はどうなるのか?

「医師の開業規制」や「外来医師過多区域」といった言葉を耳にし、漠然とした不安を感じていませんか?「どこでも自由に開業できる時代は終わる」という声も聞こえてきます。しかし、この規制が具体的に何を意味し、いつから、どこで始まるのか。現在は議論の真っ只中です。本記事では、厚生労働省の最新の議論や動向を踏まえ、開業を検討する医師が知っておくべき情報を整理して解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #開業地選定 #医療政策

目次

※2025年8月末時点の情報に基づき記載しております。

開業規制はいつから始まる?

医師の開業規制は、2026年度以降の施行を目指して議論が進められています。以下は、総合的な対策パッケージの骨子案です。

医師偏在是正に向けた総合的な対策

出典:厚生労働省「医師偏在是正対策についてP6医師偏在是正に向けた総合的な対策」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001335627.pdf

厚生労働省の検討会では具体的な制度設計について話し合いが続いていますが、現時点で内容は確定していません。

最新の動向では、当初検討されていた罰則的な「許可制」は見直され、より現実的な措置が検討されています。具体的には、都道府県からの開業場所変更に関する「要請」や、保険医療機関としての「指定期間の短縮」といった手法が議論の中心となっています。

措置は医師の開業を完全に禁止するものではなく、医師偏在の解消を促すための誘導策として位置づけられています。

ただし、制度の詳細については引き続き検討が必要な状況です。開業を検討している医師の方は、最新の政策動向を注視しながら計画を立てることが重要になります。

以下のセミナーで、医師偏在是正対策の全体像から今後の論点までを整理して解説しています。理解を深める一助としてご活用ください。

セミナーはこちらから:医師偏在是正対策の論点と展望~開業に及ぼす影響は?~

「外来医師多数区域」は開業規制の対象?

「外来医師多数区域」とは、外来医師数が全国平均よりも多い地域として指定される区域のことです。一方で「医師少数区域」は外来医師数が全国平均を下回る地域を指します。

2020年度からは、外来医師多数区域で新規開業する診療所にガイドラインが適用されるようになりました。現在では本ガイドラインをもとに、段階的な規制強化が進んでいる状況です。今後この区域で開業を検討している医師には、さらなる制限や要請が課される可能性があります。

検討会の「医師偏在対策に関するとりまとめ」では、以下のような言及がされています。

  • 規制単位は外来医師過多区域ではなく、市区町村単位・地区単位となる可能性がある
  • 具体的な規制内容については検討会でも意見が分かれている状況
出典:厚生労働省「医師偏在対策に関するとりまとめ」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001357308.pdf

意見の例として、「医師不足対策で成果が得られなかったため厳しい規制をかけるべき」という声がある一方で、「保険医療機関の指定拒否や取り消しは職業選択の自由に抵触する恐れがある」「過度な規制は駆け込み開業を誘発し地域医療を歪める」といった慎重論も出されています。

規制導入の背景にある「医師の偏在」問題とは?

医師の偏在問題とは、都市部に医師が集中し地方で医師不足が深刻化している現状のことです。厚生労働省の医師偏在指標によると、最も医師数が多い東京都(353.9)と最も少ない岩手県(182.5)では約1.9倍もの格差が生じています。

都道府県別の医師偏在指標(令和6年1月公表版)

出典:厚生労働省「医師偏在是正対策についてP74都道府県別の医師偏在指標(令和6年1月公表版)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001335627.pdf

指標からも都市部では過当競争が発生し、地方では医療アクセスが困難な状況が見て取れる状況です。

都市部の競争激化により、必要以上の検査や治療が行われる可能性があり、医療の質的向上が阻害される恐れがあります。また、新規参入の医師からすると患者さんの確保が困難になり、結果的に医療サービスの多様化や革新が妨げられる状況も生まれているといえます。

医師の開業規制は「悪」ではない?

医師の開業規制は医師のキャリアパスを制限することが目的ではありません。真の目的は医療の地域偏在を是正し、国民全体が適切な医療を受けられる環境を整備することです。

2026年度以降の開業規制施行に向けた検討会では「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」の設置も提案されており、単なる規制ではなく包括的な支援策が検討されています。

実際に外来医師多数区域では競合診療所が多いため、開業時の融資審査において「多数の競合がいる中で安定経営ができるか」といった点が厳しく評価される現実には目を向けなければなりません。これは規制以前に、経営面での課題が既出していることを示しています。

一方で地方開業に対する支援策は、充実が図られています。資金支援制度の拡充や診療報酬の加算措置などが検討されており、開業を検討している医師にとってメリットのある環境整備が進められています。

また、35歳未満の若手医師は医師少数都道府県で増加傾向にあり、これまでの取り組みによって地域偏在の縮小が実際に進んでいることも注目すべき成果です。

35歳未満の医療施設従事医師数推移(平成24年を100とした場合)

出典:厚生労働省「医師偏在是正対策についてP13 35歳未満の医療施設従事医師数推移(平成24年を100とした場合)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001335627.pdf

開業検討中の医師が知っておくべき「もう一つの事実」

医師の開業規制は2026年度以降の施行を目指して検討が進められており、外来医師多数区域での開業には段階的な制限が加わる見通しです。

しかし、重要なのは「どこでも開業できる時代は終わった」ではなく「どこで開業するかを戦略的に考える時代が来た」という認識です。

従来の「開業するなら都市部」という考え方は過去のものになりつつあります。医師偏在問題は今後の診療報酬改定にも影響を与える可能性があり、地方開業に対する支援策の拡充と合わせて、開業立地の選択基準が大きく変わろうとしています。

この先の医師偏在対策と診療報酬への具体的な影響については、専門家の見解をまとめたホワイトペーパーで詳しく解説しています。「いつまでに、どこで開業すべきか」という問いに対する見解や今後の展望について詳しく知りたい方は、こちらのホワイトペーパーをご活用ください。

医師の偏在対策、今後の診療報酬への影響は…

著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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