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目次
電子カルテの耐用年数|オンプレミス型・クラウド型での違い
電子カルテは、時間の経過とともに価値が下がる「減価償却資産」に該当します。ソフトウェアやサーバーから構成されており、長期間にわたって利用することが前提のためです。ただし、オンプレミス型かクラウド型かによって、そもそも減価償却という考え方が当てはまるかどうかが変わってきます。まずは基本の考え方から順に整理していきましょう。
耐用年数の考え方
減価償却とは、資産を購入した年に費用を一括で経費にするのではなく、使用できる期間(耐用年数)に応じて分割して経費計上していく会計処理のことです。
電子カルテのように数百万円単位の費用がかかる資産は、購入した年に全額を経費にはできません。耐用年数に沿って、毎年少しずつ経費として計上していくことになります。
ソフトウエア・サーバーは5年、パソコン端末は4年
国税庁の耐用年数表に基づいた、電子カルテを構成する主な資産の耐用年数をまとめたものが下表です。
| 資産の種類 | 耐用年数 |
|---|---|
| ソフトウエア(電子カルテ本体) | 5年 |
| サーバー | |
| パソコン・端末(サーバー用を除く) | 4年 |
出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf)
国税庁「ソフトウエアの取得価額と耐用年数」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5461.htm)
なお、サーバーの耐用年数について「6年」と紹介されているケースも散見されます。これは制度改正前の古い基準によるものであり、現在は「5年」が正しい年数です。
出典:国税庁「LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/020215/01.htm)
電子カルテのソフトウエアとサーバーをまとめて導入した場合は、それぞれの資産ごとに耐用年数を分けて計上するのが原則です。ただし、どちらが主たる設備かによってまとめて1つの資産として扱うケースもあります。契約内容の内訳によって耐用年数の扱いが変わるため、実際の申告で判断に迷う場合は、税理士への相談もご検討ください。
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オンプレミス型とクラウド型での減価償却の違いを整理
耐用年数で整理したように、同じ電子カルテでもオンプレミス型かクラウド型かによって、減価償却の扱いは大きく異なります。3つの観点で違いを整理したものが下表です。
| タイプ | オンプレミス型 | クラウド型 |
|---|---|---|
| 資産計上 | 必要(ソフトウエア・サーバーを資産として計上) | 原則不要(月額利用料として処理) |
| 初期費用 | 高額になりやすい | 抑えられるケースが多い |
| 会計処理の手間 | 耐用年数に沿った減価償却の計算が必要 | 月々の利用料をそのまま経費にできる |
オンプレミス型は資産を「所有」する形になるため減価償却が必要です。一方、クラウド型は多くの場合、資産を「利用」する形になるため、資産計上は不要です。
たとえば、クラウド型ではサーバーを自院で保有しないため、先ほどのサーバーの耐用年数(5年)に沿った減価償却は発生しません。この違いが、後述する「クラウド型は減価償却の対象外になりやすい」という話につながっていきます。
電子カルテの取得価額の計算方法
減価償却の計算は「取得価額」を耐用年数で割っていくことが基本になります。取得価額に何を含め、何を含めないかを整理しておかないと、正しい経費計上ができなくなってしまいます。
取得価額に含める費用の例
電子カルテの取得価額には本体の購入費用だけでなく、導入にあたって直接必要となった費用も含められます。
具体的な費用の例は、以下のとおりです。
- 設置工事費
- 搬入費
- 購入手数料
- 初期設定費
- 導入時の人件費など
経費計上の漏れを防ぐためにも、導入時にかかった費用は項目ごとに記録しておきましょう。
出典:国税庁「No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5400.htm)
取得価額に含めない費用の例
一方、保守契約料や月額のサポート費用など、継続的に発生する費用は都度、経費(損金)として計上します。取得価額に含める費用と含めない費用を混同すると、耐用年数に沿った減価償却の計算がずれてしまうため、注意が必要です。
取得価額の計算イメージ
取得価額に含める費用と含めない費用を整理したうえで、実際の計算イメージを提示します。たとえば、電子カルテの取得価額を200万円、耐用年数が5年を例に、定額法(毎年同じ金額を計上していく計算方法)で計算すると、下記のように求められます。
200万円÷5年=40万円/年を減価償却費として計上
実際の金額は契約内容によって異なるため、あくまで一つの目安としてご参照ください。
取得価額が40万円未満の場合は「少額減価償却資産の特例」も確認
取得価額が40万円未満の資産については、取得した年に全額を経費にできる「少額減価償却資産の特例」(適用期限は令和10年度末(令和11年3月31日)まで)を活用できる可能性があります。
中小企業者等(従業員が400名以下、出資金等が1億円超の組合等は300名以下)が対象で、合計300万円を上限に即時償却が可能な税制です。
出典:中小企業庁「少額減価償却資産の特例」(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tokurei/syougaku_shisan.html)
電子カルテ本体(システム一式)は40万円に収まるケースはほぼなく、本特例の対象とは考えにくいでしょう。しかしながら、タブレット端末など周辺機器を個別に取得する場合は、40万円未満に収まることもあり、活用できる可能性があります。自院の状況で本特例が使えるかどうか、確実な判断は税理士への相談をご検討ください。
減価償却の対象外となるクラウド型電子カルテ
ここまで見てきたとおり、電子カルテの購入費用は耐用年数に沿って数年に分割し、経費計上していく必要があります。一度に多くの費用が出ていく一方、1年間で経費にできる金額には限りがあるため、資金計画への影響は小さくありません。ここからは、耐用年数を過ぎたときの考え方と、減価償却の悩みを回避できるクラウド型電子カルテについて解説します。
あらためて確認しておきたい耐用年数の考え方
耐用年数(4〜5年)は、あくまで税務上の期間であり、その年数を過ぎたからといって電子カルテが使えなくなるわけではありません。「耐用年数=寿命」ではなく、会計上、経費として計上し終える期間という位置づけです。
とはいえ、実務上は経年劣化やメーカーのサポート終了などにより、耐用年数と近いタイミングで買い替えを検討するケースも少なくありません。とくにオンプレミス型は、買い替えのたびに新たな初期投資が発生するため、資金計画の面で負担が大きくなりがちです。
クラウド型が減価償却の対象外となる理由
クラウド型電子カルテは多くの場合、サーバーやソフトウエアを自院で所有するのではなく、月額の利用料を支払ってサービスとして利用する形になります。その場合、メーカー側が資産の所有権を持ち、利用者である医療機関が利用料を支払う契約となり、費用処理する形が一般的です。つまり、資産計上が不要=減価償却の対象外になりやすいという特徴があるといえます。
ただし、あくまで「対象外になりやすい」という傾向であり、契約形態によっては初期設定費が資産計上の対象となるなど、例外もあり得ます。契約前に費用の内訳がどのような会計処理になるか、確認しておくと安心です。
クラウド型に切り替えるメリット
クラウド型電子カルテには、資金計画の面で複数のメリットがあります。初期費用を抑えて導入できるため、開業時・切り替え時のまとまった支出を軽減できるほか、月々の利用料をそのまま経費にできるため、単年度の税負担も見通しやすくなります。また、自動アップデートにより買い替えのタイミングそのものに悩まされにくくなる点も、長期的な資金計画を立てるうえで大きな利点です。
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まとめ|効率よく経費計上して資金計画を
電子カルテの耐用年数は、ソフトウエア・サーバーがともに5年、パソコンなどの端末が4年です。取得価額には導入時の付随費用まで含められる一方、保守費用などは含まれません。
電子カルテは、耐用年数を過ぎても使い続けること自体は可能です。ただし、買い替えのたびに初期投資が発生しやすいオンプレミス型に対し、クラウド型は多くの場合減価償却の対象外となり、資金計画も立てやすい点は考慮されるとよいでしょう。
自院の資金計画にあわせて、無理なく経費計上できる電子カルテの形を検討してみてはいかがでしょうか。

