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目次
電子カルテ導入までの7ステップ
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電子カルテを円滑に導入するためには、計画的に進める必要があります。以下では、電子カルテ導入までの7つのステップについて解説します。
ステップ1:導入の目的を整理する
電子カルテ導入の第一歩は、目的の明確化です。「診療効率の向上」「医療事故の防止」「経営の見える化」など、具体的な課題と解決に向けた目標を設定しましょう。
たとえば、カルテの記録時間短縮を目指すのか、情報共有の効率化を図るのかによって、必要な機能が変わります。
目的が曖昧なまま進めると、導入後に「想定していた効果が得られない」状態になりかねません。院長先生だけでなく、看護師や事務スタッフを含めた関係者全員で目的を共有する必要があります。
ステップ2:タイプを比較する
電子カルテにはオンプレミス型・クラウド型・ハイブリッド型の3タイプがあります。以下で、それぞれの主な特徴を簡単にまとめました。
| タイプ | 特徴 |
| オンプレミス型 |
・ 院内にサーバーを設置して利用 ・ カスタマイズ性に長けている |
| クラウド型 |
・ インターネットで外部サーバーを利用 ・ カスタマイズは限定的 |
| ハイブリッド型 |
・ 院内・外部両方のサーバーを利用 ・ カスタマイズ性に長けている |
オンプレミス型はもっとも歴史が長く、大規模病院での普及率が高い状況です。しかし、国は今後の方向性として、医療DXを推進すべく標準化の流れを強めています。
開発中の標準型電子カルテはクラウド型のため、導入する際には政策の動向も鑑みた選定が重要です。
ステップ3:費用を比較する
電子カルテの費用は導入形態によって大きく異なります。クラウド型は初期費用が無料から数十万円程度と比較的安価です。一方、オンプレミス型やハイブリッド型では数百万円が一般的です。
運用コストについても、月額利用料やサポート費用などの固定費と、データ通信料やオプション機能利用料などの変動費を含めてご検討ください。
費用が変動する要素やおさえるためのポイントについて、以下の記事で解説しています。比較する際の参考になさってください。
参考記事:電子カルテの費用まとめ2025|導入・運用コストの相場と選び方
ステップ4:サポート内容を確認する
電子カルテ導入時のサポート内容によって、運用開始までの準備の出来が変わります。とくにパソコン操作に不慣れなスタッフが多い医療機関では、導入時の立ち会いサポートや操作研修の充実度を重視しましょう。
メーカーによってサポート内容に大きな差があり、24時間対応のヘルプデスクを提供する会社もあれば、平日のみの対応の場合もあります。
また、導入後のトラブル対応速度や、システムアップデート時のサポート体制も確認が必要です。手厚いサポートを提供するメーカーを選ぶと、導入時の混乱を最小限におさえられます。
ステップ5:製品を選定する
電子カルテの選定は以下のフローで進めると、自院に適した製品が絞り込めます。
- 予算や必要機能に基づいて候補メーカーを数社に絞り込む
- 診療科目や患者数、スタッフ数などの具体的な要件をもとにメーカーに提案を求める
- デモンストレーションで操作性などを確認する
デモでは日常的な診療業務を想定したシナリオで操作し、スタッフ全員が使いやすいかどうかをご判断ください。価格だけでなく、機能性と操作性のバランスを総合的に評価して選定しましょう。
ステップ6:試験運用する
メーカーとの仕様設定の打ち合わせを経て納品された後は、スタッフ向け説明会と操作研修を実施します。研修では実際の診療フローに沿った操作練習で、疑問点や不明点を解消しておきましょう。
本稼働1週間前には、模擬患者さんを使った試験運用を実施し、システムの動作確認と業務フローを最終調整します。期間中に発見された課題や改善点は、本稼働前に必ず解決しておいてください。
ステップ7:本稼働する
これまでの全ステップを経て、電子カルテの本稼働を迎えます。稼働日初日のサポート体制を事前に確認し、トラブルが発生した場合に即座に対応できる体制を整えておきましょう。
スタッフには「慣れるまでは紙カルテより時間がかかる可能性がある」旨を事前に伝え、患者さんへの説明も準備しておきます。
本稼働後1〜2週間はとくに注意深く運用状況を監視し、操作ミスや業務効率の変化を記録して改善につなげましょう。
電子カルテ選定時のポイント
電子カルテ選定で重要なのは、操作性・費用対効果・診療スタイルとの適合性のバランスです。
操作性については、日常的に使用するスタッフ全員が直感的に使えるインターフェースかどうかを重視しましょう。
費用と業務効率のバランスでは、初期投資だけでなく運用コストも含めた総合的な費用対効果をご検討ください。とくに、法改正や診療報酬改定に伴うシステムバージョンアップは定期的にかかるため、中長期的な視点が欠かせません。
最後に診療スタイルに応じた機能選択では、専門科目特有の要件や他システムとの連携有無を踏まえ、電子カルテに求める機能を精査しましょう。
電子カルテ選定の詳細なポイントについては、導入した開業医の経験談をもとにしたお役立ち情報としてまとめています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
ダウンロードはこちらから:導入してわかった!開業医が語る、電子カルテ選びの“本音”
電子カルテを導入するメリット・デメリット
電子カルテ導入を検討する際は、メリットとデメリットの両面を理解する必要があります。導入効果を最大化し、リスクを最小限におさえるためにも、事前に想定される変化を把握しておきましょう。
導入で得られるメリット
電子カルテ導入によって得られるメリットとして、以下5点が挙げられます。
- 業務の効率化につながる
- 医療安全の向上に寄与する
- 保管場所を削減できる
- 患者サービスが向上する
- 他施設との連携が容易になる
なかでも、最大のメリットは業務の効率化です。端末さえあれば複数のスタッフで同時に閲覧できるため、紙カルテのように作業が滞ることがありません。また、紹介状をはじめとする定型的な書類のテンプレートを活用すれば、文書作成の手間も削減可能です。
その他のメリットの詳細や導入された医師の声などは、以下の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。
参考記事:電子カルテを導入するメリット・デメリットとは?
導入で生じうるデメリット
電子カルテ導入には避けられないデメリットも存在します。とくに大きな課題が操作習得に要する時間です。パソコン操作に慣れていないスタッフは、従来の診療スピードに戻るまで時間がかかります。
よって、導入初期は診療時間が延長し、患者さんの待ち時間増加につながる可能性もあります。導入前のデモンストレーションや運用手順の徹底のほか、患者さんに対して事前に説明しておく必要があります。
コストや体制の部分は院内の工夫である程度対応が可能です。患者さんや地域の関係者など、外部に影響するデメリットを優先的に対処しましょう。
電子カルテを導入する際の注意点
電子カルテ導入時には「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に基づいた安全性の確保が必須です。
同ガイドラインに基づくチェックリストを参考に、患者さんの個人情報や診療データを保護するため、物理的安全性・技術的安全性・組織的安全性の観点から環境を整えましょう。
物理的に安全な環境を構築する【物理的安全性】
物理的な安全の確保では、電子カルテ端末やサーバーなどを設置している部屋への不正侵入防止対策や、端末の盗難・紛失防止策を講じる必要があります。施錠管理や監視カメラの設置、入退室記録の管理などハード面での対策を検討し、対応可能なものから導入しましょう。
セキュリティ対策を構築する【技術的安全性】
技術的に安全を維持できる環境のため、ファイアウォールの設置やデータの暗号化、定期的なセキュリティアップデートの実施が必要です。また、データをバックアップできるシステムを用意できれば、震災などでデータが消失してしまうリスクを最小限におさえられます。
セキュリティ対策については、以下のセミナーで詳細に解説しています。整備すべきルールの具体例の参考にご活用ください。
セミナーはこちらから:クリニックが行うべき4つのセキュリティ対策
組織として誤りを防止する【組織的安全性】
組織として誤りを防止するためには、スタッフへの情報セキュリティ教育や、アクセス権限の適切な管理、操作ログの監視体制構築が求められます。安全対策を怠ると、情報漏洩や不正アクセスといった重大な問題につながる可能性があります。
また、インシデントが発生した場合の連絡手段や事業継続計画(BCP)などの整備も必要です。
電子カルテは個人情報そのものです。トラブル防止の具体策を以下のセミナーで解説しているため、お役立てください。
セミナーはこちらから:トラブルを防ぐ、クリニックの個人情報管理のポイント
電子カルテを導入した後の注意点
電子カルテは導入後の運用においても、注意を払うポイントが複数あります。代表例として2点紹介するため、安心して運用できる体制構築の参考になさってください。
誤った情報を入力しない
電子カルテはテンプレートや定型文など、記録の負担を軽減できる機能が豊富です。しかし、システム任せにしていると、違う患者さんの情報が反映されたり誤字・脱字が含まれたりする可能性があります。
運用開始初期の頃は操作ミスが起こりやすい時期でもあるため、ダブルチェックや仮登録して後から見直して承認するなど、一工夫設けるとミスの防止につながります。
むやみな情報の修正・削除は避ける
電子カルテは紙カルテよりも情報の修正・削除が簡単です。入力履歴を辿り、追加や上書きができるため、充実したカルテ記載を残せるメリットがあります。
一方で、不用意な修正や削除は改ざんを疑われてしまいます。現在の電子カルテは画面上からは見えない履歴をログとして残しているため、後からの追跡が可能です。
医療DXの推進で今までよりも情報共有が促進されます。予期せぬトラブルに発展する前に、正しいカルテ運用のルールを作りましょう。
電子カルテ稼働後に生じうる課題
電子カルテを本稼働させた後も、実際の診療現場で新たな課題が浮上する場合があります。準備段階では見えなかった問題点が明らかになるため、継続的な改善と柔軟な対応が求められます。
運用に合わない機能が出てくる
導入後の診療で、使いにくい機能や入力に時間がかかる項目などが判明する場合があります。
実際の患者データを扱う中で初めて気づく操作性の問題や、日常的に使用する機能の不便さが浮き彫りになるケースは珍しくありません。
問題に対処するため、開業後に販売代理店のインストラクターがクリニックに立ち会うサポートを提供しているメーカーもあります。稼働後の不安を軽減し、スムーズな運用を実現するために、サポート体制を積極的にご活用ください。
運用で機能不足が生じる
導入時には、カルテの操作性に加えて、文書作成・画像取り込み・検査結果の参照などの一般的な機能が選定の要件に挙げられる場合が多くあります。しかし、実際に運用を開始すると、外注検査のオーダーや機器連携などの機能追加を依頼するケースがよく見られます。
診療の幅が広がったり、新しい検査機器を導入したりする際に、当初想定していなかった機能の必要性が明らかになるためです。
柔軟性に優れた電子カルテなら、導入時は必要最低限の機能にとどめて初期費用をおさえつつ、後から業務の実態にあわせて機能追加をする対応も可能です。電子カルテ選定時には将来的な機能拡張への対応力も重要な判断基準として考慮しておいてください。
まとめ
電子カルテ導入を成功させるためには、導入目的の明確化から本稼働後の継続的な改善まで、各段階における注意点を把握する必要があります。選定時には操作性・費用対効果・診療スタイルとの適合性を重視し、導入時には医療情報システムの安全管理ガイドラインに基づく安全性を確保しましょう。
稼働後も新たな課題が生じる可能性があるため、柔軟なサポート体制をもつメーカーを選ぶと、長期的な運用の安定化を図れます。
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