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電子カルテ 医師 事務長 2026.09.18 公開

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紙カルテのメリットは電子カルテでも活きる!移行への対処法を解説

紙カルテには、低コストで導入でき、停電時にも困らないといった、紙ならではのメリットがあります。「電子カルテへの移行を考えてはいるものの、今のやり方を手放すのは不安」という先生も多いのではないでしょうか。「紙カルテは今すぐ廃止しなければならないのか」という不安に対する結論からお伝えすると、現時点で法律上の義務はありません。しかし、政策の方向性としては無視できない動きも出てきています。この記事では、紙カルテと電子カルテそれぞれのメリット・デメリットを整理したうえで、紙カルテで実現できていたことが電子カルテでどう維持・解決されるのかを対処法つきで解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#機器選定ポイント #業務効率化 #紙カルテの電子化 #システム入替

目次

紙カルテはいつまで使える?廃止に関する誤解

結論からお伝えすると、2026年8月時点で電子カルテの導入は義務ではありません。よって、紙カルテのままでも診療を続けることは可能です。

一方で、政策の方向性としては軽視できない動きがあります。2025年12月8日に成立した医療法等の一部を改正する法律では、「2030年12月31日までに電子カルテの普及率約100%」という目標が明記されました。

紙カルテはいつまで使える?廃止に関する誤解
出典:厚生労働省「医療法等の一部を改正する法律の成立について(報告)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001606327.pdf)

つまり、現時点で「義務」という言葉こそ使われていないものの、実質的には電子カルテの導入が求められる方向に政策が進んでいるのは事実です。とくに、国が主導する「標準型電子カルテ」(政府が仕様の標準化を進めている電子カルテの規格)を軸とした普及の動きは、今後さらに活発になっていくと見込まれます。

こうした政策の動きがある一方で、現場の実態は必ずしも同じ方向を向いているわけではありません。日本医師会が2025年に実施した調査では、紙カルテを利用する診療所の54.2%が「電子カルテの導入は不可能」と回答しています。

出典:日本医師会「紙カルテ利用の診療所の電子化対応可能性に関する調査」(https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20250806_2.pdf)

「まわりが移行しているから、自院も今すぐ決断しなければ」と焦る必要はありません。政策の方向性と現場の実態、両方を踏まえたうえで自院にとって適切なタイミングを見極めることが大切です。

あらためて確認しておきたい紙カルテのメリット・デメリット

電子カルテへの移行を検討するにあたり、まずは今お使いの紙カルテにどのようなメリット・デメリットがあるのかを、あらためて整理しておきましょう。

紙カルテのメリット

紙カルテの代表的なメリットは、次の5点です。

  • 低コストで導入できる:高額なシステム導入費や毎月の維持費がかからない
  • 特別な操作スキルが不要:誰でもすぐに使い始められ、操作に関する教育コストも不要
  • 停電・システム障害でも使える:ネットワークや機器トラブルの影響を受けない
  • 自由なレイアウトで書き込める:図やメモ、イラストをその場で素早く書き込める
  • パラパラめくって直感的に参照できる:過去の記録を直感的に探し出せる

これらは、電子カルテ導入後であっても、システム障害時の診療継続手段(BCP:事業継続計画の観点)として活きます。

紙カルテのデメリット

メリットがある一方で、紙カルテには次のようなデメリットもあります。

  • 検索性の低さ:目的の記録を探すのに時間がかかる
  • 共有の難しさ:複数拠点や多職種の間でリアルタイムに情報を共有しにくい
  • 保管スペースの管理:カルテの量が増えるほど、物理的な保管場所の確保が必要になる
  • レセコンとの連動性:レセプト転記の負担やミスにつながる可能性がある

紙カルテのメリットは「今できていること」、デメリットは「今困っていること」と整理できます。次の章では、この2つを軸に、電子カルテでどのような変化があるのか具体的に見ていきましょう。

電子カルテのメリット・デメリット

紙カルテのメリット・デメリットを踏まえたうえで、電子カルテに切り替えると何がどう変わるのかを、1対1で対応させながら整理します。「今できていることが失われないか」「今困っていることがどう解決されるか」の両面から確認していきましょう。

電子カルテのメリット

電子カルテのメリットは、紙カルテのデメリットがどう解決されるかという視点で整理すると、できることが明瞭になります。

紙カルテでは難しかったこと 電子カルテでどう解決される?
情報を探すのに時間がかかる(検索性の低さ) キーワード検索で瞬時に該当箇所を参照できる
複数拠点・多職種での共有が難しい 院内外でリアルタイムに情報を共有できる
保管スペースが必要 データで保存するため、物理的なスペースが不要になる
レセコンとの情報連携に負担が生じる データ連携により手作業の負担が軽減される

とくにクラウド型の電子カルテであれば、院内外を問わずリアルタイムに情報へアクセスできるため、複数拠点で診療する場合や、他院との連携が多い場合にメリットを実感しやすいでしょう。

電子カルテのデメリット

一方で、「紙カルテでできていたことが、電子カルテではできなくなるのでは」という不安を持つ先生も少なくありません。ここでは、紙カルテのメリット5項目と対応させながら、電子カルテでも維持できるのか、対処法とあわせて整理しました。

紙カルテでできていたこと 電子カルテでも大丈夫?(対処法)
低コストで導入できる クラウド型を選択すると、初期費用を抑えつつ導入できる
特別な操作スキルが不要
  • 導入時の研修やサポート体制でカバーが可能
  • 直感的に操作できる製品の選定も重要
停電・システム障害でも使える オフライン対応機能やバックアップ運用により、一定の継続利用が可能(オンプレミス型とクラウド型を組み合わせたハイブリッド型も候補)
自由なレイアウトで書き込める テンプレート入力と自由記載欄を併用するなど、機能を活用することで対応可能
パラパラめくって直感的に参照できる 検索機能を使えば、目的の記録により素早くたどり着ける

いずれのデメリットも、製品選びや運用の工夫で対処できると整理できます。「電子カルテにしたら今のやり方が失われる」というわけではありません。

自院に適した選び方チェックリスト

ここまでの内容を踏まえ、自院が「紙カルテのままで良いか」「電子カルテへの移行を検討すべきか」を判断するための参考としてチェックリスト形式で情報を整理しました。当てはまる項目が多いほど、電子カルテへの移行が自院にとってメリットになりやすいといえます。

【電子カルテへの移行を検討しやすい方】

【当面は紙カルテのままで問題ない方】

チェックの結果、電子カルテへの移行を前向きに検討したいと感じた方は、実際にどのような手順で紙カルテから電子カルテへ移行するのか、具体的な進め方を解説した記事もあわせてご覧ください。

導入事例から見えた電子カルテ利用医師の声

「本当に紙カルテのメリットを保ったまま、電子カルテに移行できるのか」という疑問には、実際に電子カルテを導入した医師の声が参考になるでしょう。導入事例で寄せられた実際の声の一部をご紹介します。

  • 「開業における一番の不安材料だったレセプト業務がある程度自動化でき、チェック機能も実装されていることは魅力的でした」
  • 「医療DXを推進しようと考えると、外部のさまざまなクラウドサービスを利用していくことになるので、クラウド型電子カルテには大きな優位性があると思っています」
  • 「クラウド上でカルテ情報と連携して文書を作成でき、アップロード作業もないので、文書作成業務が非常に効率的になりました」

いずれの事例も、紙カルテ運用で直面する「会計・算定業務の負担」「文書作成の手間」「レセプト業務への不安」などの課題を打開し、今後の医療DXを見据えた運用を実現されています。より多くの導入事例やご紹介した事例の詳細を確認されたい方は、以下の導入事例ページをご参照ください。

▶導入事例を見てみる

紙カルテからでも安心して移行できる製品のご紹介

導入事例でご紹介した「算定業務の負担軽減」「文書作成の手間削減」を実際に形にしているのが、以下の2製品です。いずれも、50年以上にわたる医事システム開発で得られた知見を組み込み、適切な請求をサポートします。

項目 Medicom クラウドカルテ Medicom-HRf Hybrid Cloud
タイプ クラウド型 ハイブリッド型
おもな特長
  • 初期費用0円から導入が可能
  • カルテに入力した内容から請求できる項目をシステムが自動で見つけ出す「AI自動算定機能」を搭載し、請求業務をサポート
  • 豊富な機器連携やカスタマイズに対応
  • 国内トップシェア※のレセコン開発で培った、請求内容を自動でチェックする機能により、返戻(差し戻し)や請求もれ防止をサポート

※出典:株式会社富士経済「2022年 医療連携・医療プラットフォーム関連市場の現状と将来展望」より2020年企業シェア・数量ベース レセプトコンピューター(PHC実績)

また、両製品に共通する強みとして、サポート体制の手厚さを評価する以下のような声もいただいております。

【サポート体制について頂戴した声】

「導入時のセッティングから運用開始後まで丁寧に伴走してもらえた」
「電話・チャット・リモートでの画面共有など複数の手段で気軽に相談できた」

各製品のより詳しい機能やサポート体制は、以下の製品ページでご確認いただけます。「何から相談したらいいかわからない」という段階でも、まずは窓口としてお気軽にご活用ください。

▶クラウド型電子カルテ「Medicom クラウドカルテ」の詳細情報を見る

▶ハイブリッド型電子カルテ「Medicom-HRf Hybrid Cloud」の詳細情報を見る

カルテ(紙・電子)についてよくある質問

紙カルテと電子カルテに関して、よく寄せられる質問にお答えします。

紙カルテと電子カルテは併用して問題ない?

併用自体に法律上の問題はありません。ただし、同じ患者さんの情報が紙と電子の両方に分散すると、確認もれや二重記載のリスクが高まります。併用する場合は、「いつまで併用するか」「どちらを正とするか」といった運用ルールの取り決めが重要です。

紙カルテと電子カルテの保存期間はそれぞれ何年?

カルテ(診療録)の保存義務期間は、紙と電子問わず診療が完結した日から5年間です。なお、民法改正により、医療事故による損害賠償請求の消滅時効は医療行為から20年間、また被害者が損害賠償請求できることを知ったときから5年間とされています。

医療行為から症状が現れるまでに5年以上を要するケースもあるため、5年でカルテを廃棄してしまうと、いざというときに対応できないリスクがあります。

出典:法務省「民法(債権関係)の改正に関する説明資料-主な改正事項-」(https://www.moj.go.jp/content/001259612.pdf)

自院での保存期間を検討する際は、法律上の最低ラインである5年だけでなく、実務上のリスクや議論も踏まえておくとよいでしょう。

紙カルテと電子カルテそれぞれの使用割合は?

厚生労働省の調査によると、2025年11月時点で電子カルテシステムの導入状況は、病院で77.7%、診療所で71.0%となっています。

※調査対象:保険医療機関のうち、医療 DX 推進体制整備加算を届出している診療所(電子処方箋対応あり)から 500 件、医療 DX 推進体制整備加算を届出している診療所(電子処方箋対応なし)から 500 件、同加算を届出していない診療所から 1,000 件をそれぞれ無作為抽出した。また、急性期充実体制加算 1 又は2 を届出している病院から 163 件を悉皆で抽出した。さらに、急性期充実体制加算 1 又は 2 を届出していない病院のうち、医療 DX 推進体制整備加算を届出している病院(電子処方箋対応あり)から 459 件、医療 DX 推進体制整備加算を届出している病院(電子処方箋対応なし)から 459 件、同加算を届出していない病院から 919 件をそれぞれ無作為抽出した。調査客体は合計で4,000 件とした。

回 答 数:1539 件
回 答 者:開設者・管理者

出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度調査)医療DXの実施状況調査」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001598457.pdf)

裏を返せば、診療所の約3割は、現在も紙カルテ運用を続けていると読み取れます。紙カルテの利用は決して少数派というわけではなく、それぞれのタイミングで移行を検討している段階といえるでしょう。

まとめ

紙カルテには、紙だからこそできるメリットが複数挙げられます。そして、そのメリットの多くは、製品選びや運用の工夫によって、電子カルテでも形を変えて実現できる状況が整ってきているともいえます。

現時点で電子カルテへの移行は義務ではありません。しかし、2030年に普及率100%という政策目標が示されている以上、検討が必要となるタイミングは訪れるでしょう。自院に合ったタイミングと製品を見極めるために、まずは電子カルテの情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

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著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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