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目次
※2025年9月時点の情報に基づき記載しております。
電子カルテは義務化されるのか
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2025年9月現在において、電子カルテの「義務化」が明文化された情報はありません。しかし、国は2030年までに医療機関の電子カルテ導入率100%を目標として設定しており、実質的な義務化に向けた動きが加速しています。
厚生労働省は令和8年度予算概算要求で医療DX推進予算を118億円増額し、162億円と大幅に拡充しました。予算は全国医療情報プラットフォーム整備や電子処方箋利用拡大などに充てられ、電子カルテ普及に向けた環境整備が本格化すると予想されます。
出典:厚生労働省「令和8年度厚生労働省予算概算要求の概要」P4
(https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/26syokan/dl/01-01.pdf)
実質的な義務化に向けたスケジュール(国の動向)
国は2030年の電子カルテ導入率100%達成に向けて、段階的なスケジュールを公表しました。2025年には標準型電子カルテα版の提供開始と電子カルテ用の標準マスター提供が動いています。

出典:厚生労働省「電子処方箋・電子カルテの目標設定についてP8」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001511375.pdf)
スケジュールや施策の動きをみると、国はまず標準化の土台を固めたうえで実質的な義務化を進めていくと予想されます。医療機関としては国の動向を注視しながら、院内体制の見直しや計画を立てる必要があるでしょう。
国の動向を踏まえて、今後医療現場にどのような変化が生じるのか、次の章で解説します。
実質的な義務化により医療現場に生じる変化
電子カルテの実質的な義務化は、医療現場の業務内容や環境に大きな変化をもたらします。「デジタル化」と「情報共有」の観点から、それぞれの内容を解説します。
記録のデジタル化
紙カルテから電子カルテへの移行は、現場にとって大きな変化といえます。手書きで1から書いていたカルテはテンプレートなどの活用で効率化できるため、医師が患者さんと向き合う時間を増やせます。
また、紙カルテの保管スペースが不要になることで、診療室や待合室の拡張など別の用途へのスペース活用も可能です。外部倉庫にカルテを保管している場合は、保管費用の削減効果も期待できるでしょう。
さらに、電子カルテでは過去の診療記録や検査結果を瞬時に検索できるため、診察時間の短縮により、結果として患者さんの待ち時間削減にもつながります。
情報共有の効率化
電子カルテの導入により、医療機関同士での情報共有が効率化されます。具体的には、電子カルテ情報共有サービスの利用により、他院への紹介状を紙で印刷する必要がなくなり、スピーディな情報提供が可能になります。
院内の情報共有の観点でも、複数の医師やスタッフが同時に患者さんの情報を確認できるため、紙カルテのような閲覧の順番待ちが起きません。チーム医療における連携がスムーズになり、患者さんに対してより質の高い医療サービスの提供につながるでしょう。
電子カルテ導入の5ステップ
ここからは、実質的な義務化を契機に電子カルテ導入を検討している先生に、電子カルテ導入の5ステップを解説します。
電子カルテは単に導入するだけでは、思ったようなメリットが得られません。効果を最大化するための参考になさってください。
ステップ1:導入の目的を明確にする
実質的な義務化の流れで電子カルテを導入する場合でも、どのような業務を効率化したいのかを明確化することが重要です。
たとえば「カルテの作成時間を短くしたい」「患者さんの情報検索を効率化したい」など、具体的な目的を設定します。目的が明確になると、業務手順のどこを見直すべきなのか、スタッフにどのようなトレーニングをいつ受けてもらうべきかのスケジュールを事前に組み立てやすくなります。
また、導入後の効果測定も行いやすくなるため、システム選定時の判断基準としても活用可能です。
一方、目的が曖昧なまま導入を進めると期待した効果が得られずスタッフの混乱を招くため、目的整理の時間を設けましょう。
ステップ2:カルテのタイプを選ぶ
電子カルテには大きく分けて、オンプレミス型・クラウド型・ハイブリッド型の3タイプがあります。国が推進している標準型電子カルテは、インターネットに接続して利用するクラウド型で開発が進められているため、同じクラウド型を選択すると今後の変更点がイメージしやすくなるでしょう。
クラウド型は初期費用をおさえられ、システムの維持管理もメーカーが対応するため、IT専門スタッフがいないクリニックでも導入しやすい電子カルテといえます。
どのタイプにすべきか迷われる場合は、開業医の経験をまとめた資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。
資料の無料ダウンロードはこちらから:導入してわかった!開業医が語る、電子カルテ選びの“本音”
ステップ3:機能・操作性を確認する
電子カルテは製品によって機能面や操作性が大きく異なるため、自院の診療スタイルに適合するかどうかの確認は必須といえます。
とくに、診療科特有の診療内容に対応できるか、既存の検査システムや画像システムなどとの連携が可能かなど、日常の診療業務が問題なく進められるかを具体的にイメージしながら確認することが重要です。デモンストレーションや試用期間を活用して、実際の操作感を体験しましょう。
ステップ4:費用を比較する
電子カルテに関する費用は、大きく導入費用と維持費用に分けられます。また、院内ですでにシステムを運用している場合は、連携の有無により費用が変動するため、連携費用も含めた総合的な比較が必要です。
なお、補助金制度の活用により実質的な負担額を削減できる可能性があるため、利用可能な補助金についても事前に確認しておきましょう。
ステップ5:サポート内容を比較する
紙カルテで運用してきた医療機関の場合、電子カルテの操作に慣れるまで相当な時間を要する可能性があります。
導入時の研修サポートが充実しているか、運用開始後のトラブル発生時に迅速な対応を受けられるかなど、サポート体制の確認は極めて重要です。とくに、夜間や土日診療の場合は、診療時間内に対応してもらえるかの確認は必須です。また、災害時やトラブルが発生した際、訪問してもらえるかリモートでの対応なのかなど、具体的なサポート内容を比較しましょう。
電子カルテ導入のメリット・デメリット
電子カルテの導入ではメリットを最大化し、デメリットを最小限におさえる対策を講じる必要があります。それぞれの具体例は以下のとおりです。
【メリット】
- 情報管理・活用の即時性による業務効率化
- 医療安全の向上
- 紙カルテのスペース削減と劣化防止
- 患者サービスの向上
- 医療機関同士の連携と情報共有の実現
【デメリット】
- 導入・運用までの時間と労力
- 初期費用と運用コストの負担
- システムトラブルへの対応
- セキュリティ対策の必要性
- 電子カルテに運用を合わせるケースが存在する
メリット・デメリットは医療機関の規模や診療科目によって影響度が異なります。とくにデメリットは、適切な準備と対策により軽減できる項目もあるため、導入前の十分な検討が重要です。
電子カルテ導入に関するメリット・デメリットの詳細は、以下の記事でも解説しているため、参考なさってください。
参考記事:電子カルテを導入するメリット・デメリットとは?
電子カルテは補助金の活用で費用をおさえられる
電子カルテの導入においてもっとも懸念されるのが、コストではないでしょうか。しかし、国や自治体で医療機関のDX化推進を支援するため、複数の補助金制度を用意しており、条件を満たせば導入費用の一部を補助してもらえます。
代表的な補助金制度としては、IT導入補助金や医療情報化支援基金(ICT基金)などが挙げられます。補助金は毎年募集時期や条件が更新されるため、利用する際には最新情報の確認が重要です。
ウィーメックス製品ごとに活用可能な補助金をまとめたページをご用意しています。補助金の管轄組織ページまでワンストップで確認できるため、ご活用ください。
補助金・助成金のご紹介(電子カルテ・レセコン・電子薬歴の導入の方へ)
ウィーメックスは制度に対応した電子カルテをラインナップ
電子カルテの実質的な義務化が現実になるまで多少の時間はあります。しかし、医療DX推進の波は確実に医療機関に影響を与えています。変化に対応するため、早期の準備と適切なシステム選択の重要性は増していくでしょう。
ウィーメックスは1972年のレセプトコンピューター開発以降、50年以上にわたって医療機関のIT化に貢献してきた実績を有しております。長年の経験により蓄積された医療現場のノウハウを活かし、現在クリニック向けに2つの電子カルテ製品を提供しています。
それぞれ異なる特徴をもっているため、どの製品が自院に適しているかの判断指針として特集ページをご用意しております。電子カルテ選択の参考としてぜひご活用ください。
特集ページはこちらから:メディコムがご提案する失敗しない電子カルテの選び方
まとめ
電子カルテの義務化は現時点では明文化されていませんが、国が2030年までに導入率100%を目標として設定しており、実質的な義務化に向けた動きが進んでいる状況です。
時代の波に乗るためには、早めの動き出しが功を奏します。まずは、電子カルテを導入する目的の整理から始めてみてはいかがでしょうか。
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