統合報告書 2025

Corporate Strategy経営戦略(中期経営計画2027)

重点施策 ①:収益基盤強化に向けた構造改革

グループ横断の構造改革を実行し、キャッシュ創出力の向上や、財務体質の強化を図ります。改革の柱となる収益性や資本効率の改善に取り組むことで、2027年度における施策効果額は2024年度対比で、収益性改善で80~120億円程度、資本効率改善で20~30億円程度を見込んでおります。

収益性改善 コスト最適化 グループ横断の効率的な購買プロセスの導入、倉庫や輸送の最適化などを通じ、コスト低減
拠点・組織最適化 グループ全体のリソースの効率的な配置と活用を図り、部門間の連携を強化
資本効率改善 投資効率化 CAPEXを中心に投資効率に基づく優先順位付けを行い、効果の高い事業や投資に資源を集中することで、キャッシュフローの改善
非事業用資産売却 有価証券や遊休資産を売却

※為替レートの前提は1USD = 140円、1EUR = 155円

施策効果額
(FY24対比、FY27時点の改善額)
+ 80億円~
+ 120億円
+ 20億円~
+ 30億円

重点施策 ②:ポートフォリオ管理強化

ROIC導入により各事業の資本効率性を評価改善し、資本コストを上回る収益性を実現、持続的な企業価値の向上を目指します。

ポートフォリオ管理強化

重点施策 ③:診断・ライフサイエンス領域への注力

死亡率の高いがんにおいては、早期発見と個別化医療を含む先端治療法の低コスト化が、今後ますます重要になっています。PHCグループでは、長年培った資産や強みを活かして、がんの死亡率の低下や、治療効果を高めるヘルスケアの実現に貢献していきます。ドメインの目指す姿は、「『より的確・早期・簡便な』がん診断を実現するイノベーター」、「がんの先端治療法の早期普及を実現するアクセラレーター」です。

社会背景

がんにおいて早期発見と
先端治療法の低コスト化
が今後ますます重要に

  • がん患者の増加
  • 個別化医療を含む先端治療法の進展
  • それに伴う医療格差の広がり
自社の資産と強み
  • 診断と先端治療低コスト化の基盤となる製品・技術
  • 研究~臨床に及ぶ販売網と顧客との強固な信頼関係
  • 世界各地に広がるモノづくりの力
目指す姿を実現するために、3つのアプローチを進める
FY25~27は事業基盤強化、FY28~30はドメインソリューション創出、FY30以降は新規事業によるソリューション拡大を示す段階的な成長ステップ
目指す姿
  • 「より的確・早期・簡便な」がん診断を実現するイノベーター
  • がんの先端治療法の早期普及を実現するアクセラレーター

事業基盤強化

これまでは個別の事業部単位だった活動を見直し、ドメイン一体となることで、営業・製造・オペレーションの効率化・強化を図ります。

営業では、拡販に向けて、世界125以上の国と地域に及ぶ販売網を活用し、ドメインでのワンストップソリューションを提供します。また、販売体制・カスタマーサービスの最適化を行い、顧客サービスの向上を図ります。

製造では、モノづくり力の強化として、主要市場へのアクセス・規制対応など、地域特性に応じた製造拠点の最適化や、生産技術・品質管理などのベストプラクティスの横展開による高位平準化を行います。

さらに、物流やバックオフィスを含む間接機能の共通化による生産性の向上に努めていきます。

従来
従来の活動
事業基盤強化
診断・ライフサイエンスドメイン
営業:ソリューション・体制の最適化
  • 世界125以上の国と地域に及ぶ販売網を活用したワンストップソリューションの提供
  • 販売体制・カスタマーサービスの最適化
製造:モノづくり力の強化
  • 主要市場へのアクセス・規制対応などの地域特性に応じた製造拠点の最適化
  • 生産技術・品質管理などのベストプラクティスの横展開による高位平準化
オペレーション:間接機能共通化
  • 物流やバックオフィスを含む間接機能の共通化による生産性の向上

ドメインソリューション創出

今後、主にがんにおける再生医療分野に取り組んでまいります。この分野の中で、細胞・遺伝子治療の市場規模は2.7兆円で、年率16%の成長が見込まれており、市場成長が見込まれる本領域において当社はがんの診断と治療に貢献するドメインのコア技術と製品を活かした、ソリューションを提供していきます。

がんにおける再生医療等製品のグローバル市場
がんの診断と治療のドメインソリューション
診断の効率化・精度向上
  • 試薬開発技術を活かし、個別化医療を促進するバイオマーカー及び患者モニタリング用試薬を提供
  • AIを活用したデジタル病理でがん診断を効率化する次世代デジタル病理ソリューションを提供
治療・製造コストの改善
  • センサ技術と培養技術により、最適な培養条件の早期確立を可能にする次世代自動培養装置の提供
  • 細胞医薬品製造における細胞培養の効率化・コスト抑制に資する新たなソリューションを提供

新規事業によるソリューション拡大

現在のコア技術とコア製品をベースに、さらなるドメインR&D・インキュベーションの推進に注力しつつ、社外パートナーとの協業やM&Aの活用で、新規事業を創出していきます。まず、ドメインR&D・インキュベーションの推進では、新たな領域も含め、コア技術を活用した製品やソリューションの開発をさらに強化していきます。加えて、社外パートナーとの協業では、再生医療の分野におけるカナダの再生医療商業化センターとの協業や、デジタル病理の分野における米国のウェイクフォレスト大学との協業など、既に進行中のプロジェクトを軸にソリューション開発を加速させていきます。また、M&Aの活用については、ソリューション拡大を非連続に加速させるために補完すべき技術・製品・販路の獲得を今後、検討してまいります。

新規事業によるソリューション拡大