コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社の経営理念である「わたしたちは、たゆみない努力で、健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献します」という理念を実践する上で、その基礎となる法令の順守や定款、規程等の順守について、経営者自らが効率的に確認することができる体制を構築することにあります。また、経営の健全性・効率性及び透明性を確保し、持続的に企業価値を向上させていく観点からも、適切なコーポレート・ガバナンスの構築やその実施に取り組んでおります。
PHCグループ ガバナンス体制図
取締役会
取締役会は、社外取締役5名を含む取締役8名で構成されています。当社では、社外取締役及び社外監査役の選任にあたっては、各取締役・監査役の知識・経験・能力・多様性のバランスや選任に関する方針・手続きに関する客観性及び透明性を向上させる観点から、スキル・マトリクスを作成しております。現在、経営環境や事業特性等を鑑み指名・報酬委員会にて経営陣の選解任について審議し、その結果を取締役会に上申し、取締役会において審議した上で決議することとしております。なお、独立社外取締役3名は他社・他組織での経営経験を有しており、当社の持続的成長と中長期的な企業価値向上に貢献するための資質を備えた者であると考えております。
取締役会の活動状況
2024年度は全19回開催し、主な審議・報告内容は以下のとおりです。
- 月次業績報告及び四半期、半期、通期の決算承認
- 中期及び単年の事業計画策定
- 財務活動に関する事項
- 投資等の中長期的戦略に関する事項
- コンプライアンスに関わる事項、係争案件の状況
- 重要リスクへの対応策及び対応活動の状況
- 監査役及び内部監査部門の監査方針、監査計画、監査実施結果
- 取締役及び経営幹部の選任、報酬に関する事項
- 取締役会の実効性評価
独立社外取締役の独立性判断基準及び資質
当社は社外取締役及び社外監査役を選任するにあたり、株式会社東京証券取引所が定める独立性基準に基づき独立性を判断し、豊富な知識や経験に基づき客観的な視点から当社の経営に対し適切に貢献していただける方を選任することとしております。社外取締役及び社外監査役の選任にあたっては、指名・報酬委員会で独立性に関する基準及び方針との適合性について審議し、その結果を取締役会に上申し、取締役会において審議した上で決議することとしております。
社外取締役(社外監査役)のサポート体制
社外取締役・社外監査役については、取締役会で十分な議論が可能となるよう、法務・コンプライアンス部において、取締役会議案の事前説明や情報提供等のサポートを実施しています。また、社外監査役については、監査役及び監査役室(監査役会の事務局として専任のスタッフで構成)において、情報提供等のサポートを実施しています。
監査役会
監査役会は、社外監査役2名を含む監査役3名で構成されており、定例監査役会の他、必要に応じて臨時監査役会を開催し、ガバナンスのあり方や取締役の業務の執行状況や財産状況に関する日常的経営活動の監査を行っています。経営理念のもと、株主だけにとどまらず、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとするさまざまなステークホルダーの皆さまの立場を十分に考慮してそれらのステークホルダーの皆さまと適切に協働を確保しつつ、株主からの受託者責任を果たし、会社や株主共同の利益を高め、持続的な成長と中長期的な価値の創出に努めています。
監査役が必要と認めた場合、当社及び当社グループの取締役又は使用人にヒアリングを実施する機会を設けています。その他、監査役は、会計監査人や重要な子会社の監査役等との定期的な会合を設け連携を図るとともに、重要な会議に出席しています。
指名・報酬委員会
当社は、取締役会を支える機能として独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は、株主総会に提出する取締役の選任、解任及び代表取締役・執行役員の後継者計画等の指名に関する事項、取締役及び執行役員の報酬に関する事項について審議の上、提言内容を決定しております。代表取締役社長(CEO)については、当社の企業理念・経営理念の実現及び当社の持続的な成長に向けてリーダーシップを発揮しうる人物を選任することとしています。指名・報酬委員会は独立社外取締役2名・社外取締役1名・社内取締役1名の4名で構成され、独立社外取締役が議長を務めています。
指名・報酬委員会の活動状況
| 回次 |
審議・報告内容 |
| 第1回 |
役員指名、役員報酬 |
| 第2回 |
役員の2023年度個人別評価、業績連動報酬の支給額、役員の次年度の業績連動報酬指標 |
| 第3回 |
業績目標設定、社内研修プログラムの進捗 |
| 第4回 |
社内研修プログラムの内容・対象者の検討 |
| 第5回 |
役員指名、役員報酬 |
| 第6回 |
役員の中間評価、スキル・マトリクスの更新 |
| 第7回 |
役員報酬 |
グループ経営会議
当社は、経営に関する意思決定の効率化及び意思決定手続の明確化を目的として、グループ経営会議を設置し、月次で開催しております。グループ経営会議では、当社グループ(すべての資本下位会社含む)の経営に関する重要な事項を決定する執行の会議体として当社グループ全体の目的及び計画進捗の管理を行っております。
なお、グループ経営会議の構成は以下のとおりであります。
構成員: 出口恭子(議長:最高経営責任者)、佐藤浩一郎(最高執行責任者)、山口快樹(最高財務責任者)、平嶋竜一(専務執行役員)、吉光透(オブザーバー:常勤監査役)
役員の選任について
当社では、取締役及び監査役の選任にあたり、候補者の知識・経験・能力に加え、多様性のバランスを総合的に考慮しています。選任方針及び手続きの客観性・透明性を高めるために、当社独自のスキル・マトリクスを作成しています。
社外取締役及び社外監査役の選任に際しては、常勤の取締役・監査役並びに執行役員が有するスキルや経験を踏まえ、当社に不足する領域を補完できる候補者を選任することを基本方針としています。また、株式会社東京証券取引所が定める独立性基準に基づき、候補者の独立性を確認の上、豊富な知識と経験を有し、客観的視点から当社の経営に適切に貢献できる方を選任しています。
取締役・監査役の選解任は、指名・報酬委員会での審議を経て取締役会の承認を得た上で、株主総会に選任議案として上程する手続きを行っています。
内部監査の状況
当社は、代表取締役社長CEOの直轄組織としてグループ内部監査部を設置し、グループ内部監査部長を含む全14名で、当社並びに子会社を対象に内部監査(業務監査及び内部統制監査)を実施しております。監査結果の報告は、グループ内部監査部長より代表取締役社長CEO及び関係役員等に対し、文書(監査報告書)をもって行います。
グループ内部監査部長は、当社代表取締役社長CEOに月次で内部監査の監査活動状況について報告を行っています。また当社監査役にも月次で監査の状況について報告、情報交換、意見交換等を行っております。他の取締役及び監査役は取締役会及び監査役会を通じて内部監査の報告を受け、意見を述べることにより監査の実用性を高めています。また、必要に応じて子会社・関連会社の監査役や取締役、社外監査役等と適切な連携関係を保持し、内部監査の効率的な実施に努めております。
役員の報酬について
取締役の報酬内容は、以下に示す基本的な考え方に基づき決定しています。
- 経営委任の対価として適切であり、当社グループの成長と業績向上に結びつくものであること
- 会社業績と個人業績との連動性を考慮した仕組みであること
- ステークホルダーに対して、説明可能な内容であり、透明性が確保されていること
報酬水準の方針
取締役の報酬水準は、優秀な人財の確保・保持を可能とする競争力のある報酬水準とするべく、客観的な外部データ、評価データ、業界動向及び経営状況等を勘案した上で、役割責任に応じた妥当な報酬水準を設定しております。具体的には、グローバル・ヘルスケアカンパニー等の報酬水準や主な採用マーケットとなる国や地域における報酬水準等をベンチマークとして設定し、毎期、相対比較して決定しております。
報酬構成
- 【取締役(社外取締役を除く)の報酬】
- 取締役の報酬は、月額報酬、短期業績連動報酬、株式報酬及び退職慰労金により構成され、指名・報酬委員会の答申を受け、取締役会の決議を経て支払われます。
| 構成 |
概要 |
| 月額報酬 |
役割責任に応じた月例の定期報酬 |
| 短期業績連動報酬 |
一年間の業績達成への短期インセンティブ |
| 2025年度における短期業績連動報酬にかかる評価指標とウエイト |
投下資本利益率(ROIC) |
25% |
| 営業利益 |
25% |
| 純利益 |
25% |
| 個人別業績目標 |
25% |
| 株式報酬※ |
取締役と株主の一層の価値共有を目的とした中長期インセンティブ |
| 退職慰労金 |
役員規程の定めに従い決定 |
※事後交付型業績連動型株式報酬(パフォーマンス・シェア・ユニット)制度、及び2025年6月25日の定時株主総会の決議により、事後交付型株式報酬(リストリクテッド・ストック・ユニット)制度を導入しております。
- 【監査役(社外監査役を除く)の報酬】
- 監査役の報酬は、監査役会の決定に基づき算出基準を設定し、月額報酬と退職慰労金により構成され、支払っております。
- 【社外取締役の報酬】
- 独立社外取締役の報酬は、月額報酬と株式報酬により構成されております。任意の指名・報酬委員会の答申を受け、取締役会の決議を経て支払われます。なお、独立社外取締役を除く社外取締役は無報酬としております。
- 株式報酬については、独立社外取締役を対象に、2022年6月29日開催の定時株主総会のご承認に基づきストック・オプション制度を導入していましたが、2024年6月26日開催の定時株主総会のご承認により、さらなるグローバルな事業展開と成長の実現に向け、株価上昇と企業価値向上のインセンティブを一層高めるとともに、国籍や経験等の点で多様性に富んだ人財を確保することを目的として、グローバルに広く利用されている事後交付型株式報酬制度に変更いたしました。
- 【社外監査役の報酬】
- 社外監査役の報酬は、監査役会の決定に基づき算出基準を設定し、月額報酬のみ支払っております。
- 役員区分ごとの報酬等の総額(2025年3月期 実績)
-
| 役員区分 |
報酬等の 総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額(百万円) |
対象役員の 員数(名) |
| 固定報酬 |
ストック・ オプション※1 |
業績連動 報酬※2 |
退職慰労金 |
その他 |
左記のうち、 非金銭報酬等 |
取締役 (社外取締役を除く) |
263 |
136 |
2 |
67 |
35 |
21 |
23※3 |
3※5 |
監査役 (社外監査役を除く) |
23 |
21 |
- |
- |
1 |
- |
- |
1 |
| 社外取締役 |
92 |
56 |
4 |
- |
- |
31 |
35※4 |
3※6 |
| 社外監査役 |
30 |
30 |
- |
- |
- |
- |
- |
2 |
- ※1ストック・オプションの記載額は2025年3月末時点の算定価格を記載しております。
- ※2当連結会計年度における当該業績連動報酬に係る指標の目標及び実績は下表のとおりとなります。各指標は、当社事業の成長性、収益性及び効率性のバランスと網羅性を考慮し、指名・報酬委員会にて諮問し、取締役会で承認したものです。なお、以下における営業利益は、一時費用等を除いた調整後営業利益を記載しております。
- ※3非金銭報酬等は、当期費用計上すべき長期インセンティブ額を記載しております。取締役(社外取締役を除く)の非金銭報酬等の額には、ストック・オプション及び事後交付型業績連動型株式報酬が含まれます。取締役(社外取締役を除く)の事後交付型業績連動型株式報酬の報酬限度は、2024年6月26日開催の定時株主総会の決議により、年66,000株以内及び年額165百万円以内(ただし、評価期間に係る年数分の累計198,000株及び495百万円以内を一括して支給できるものとしております。)(決議時点における取締役の員数2名)となっております。
- ※4社外取締役の非金銭報酬等の額には、ストック・オプション及び事後交付型株式報酬が含まれます。独立社外取締役のストック・オプションの報酬限度は、2022年6月29日開催の定時株主総会の決議により、年額70百万円以内(決議時点における独立社外取締役の員数3名)となっております。独立社外取締役への事後交付型株式報酬の報酬限度は、2024年6月26日開催の定時株主総会の決議により、年22,000株以内及び年額53百万円以内(決議時点における取締役の員数3名)となっております。
- ※5取締役(社外取締役を除く)の員数には、期中に退任した取締役の員数を含めて記載しております。
- ※6社外取締役の員数には、無報酬の社外取締役3名(期中に退職した社外取締役を含む)の員数を除いて記載しております。
- 2024年度における短期業績連動報酬に係る評価指標の目標及び実績
-
| 評価指標 |
ウエイト |
2024年3月期の目標 |
実績 |
目標達成度 |
| コア売上高 |
26% |
360,047 百万円 |
348,572 百万円 |
97% |
| 営業利益 |
30% |
20,378 百万円 |
22,232 百万円 |
110% |
| 純利益 |
19% |
10,278 百万円 |
10,485 百万円 |
103% |
| 個人別業績目標 |
25% |
各人別に設定 |
各人別に設定 |
各人別に設定 |
取締役会の実効性評価
当社は、2025年2月から3月にかけて、その時点におけるすべての取締役(7名)及び監査役(3名)を対象に、取締役会全体の実効性に関して、次の項目についてアンケート調査を実施いたしました。
- (1)取締役会の構成
- (2)取締役会の運営に関する事項
- (3)取締役会全体の実効性
- (4)社外取締役の支援・連携に係る体制
- (5)監査機能
- (6)指名・報酬委員会
- (7)株主・投資家との関係
- (8)その他(前回の実効性評価において指摘された課題への対応状況等)
なお、アンケート内容の設定及び評価結果の分析・評価については、客観性を確保するため、第三者機関のサポートを受けています。第三者機関による分析の結果を踏まえ、取締役会において現状及び課題について評価を行いました。
評価結果
取締役会全体としてはおおむね適切に機能しており、実効性が確保されていると判断しております。また、前回の実効性評価において主な課題とされた「中期計画の達成状況等の分析・計画修正・次期計画への活用」及び「投資等に関する報告・取締役会での議論」については、通常の取締役会に加えて、重要テーマについての情報共有や議論を行う機会を設定することで、大幅な改善が見られました。しかし、さらなる実効性の向上のために、下記の点が今後の主な課題であると認識しております。
今後の主な課題
- ESGへの取り組みのモニタリング
- サステナビリティの重要課題の議論
- 資料配布時期の早期化
- 監査に基づく懸念点の取締役会での明確な共有
今回認識した課題の改善に向けて対応していくとともに、今後も毎年実効性評価を実施し、取締役会全体の実効性を高めるための取り組みを継続
役員トレーニングの方針
当社は、取締役・監査役に限らず、広く全社員に対し、職責や業務上必要な知識の習得や適切な更新等のためにさまざまな研修機会を斡旋しております。新任の社外取締役・監査役が就任する場合には、取締役・監査役の法的な役割・責務に加え、当社が所属する業界、当社の歴史・事業概要・財務情報・戦略、組織等、透明性、公平性の視点から当社の経営に対する実効的な監督に貢献するために必要な情報を提供することとしております。また、取締役会の審議を活性化するため、経営の監督に必要な知識の取得・更新の機会を設けるとともに、各取締役がそれぞれの必要に応じ自主的に参加する講習会・交流会等の費用は当社が負担することとしております。
政策保有株式
当社は、原則として政策保有株式は保有しない方針ですが、事業戦略等の観点から保有する場合は、必ず取得時にその保有意義につき取締役会での確認を経ることとしております。また、保有意義について財務部が定期的に棚卸しを行い、保有意義が認められない場合は売却を検討します。検討結果を毎年、取締役会に報告しております。議決権行使について一律に基準は定めず、投資先企業の経営方針や経営戦略等を尊重した上で、当社の中長期的な企業価値の向上に資するものであるか否かを総合的に判断し、行使いたします。
株主との建設的な対話に関する方針
当社は株主をはじめとするステークホルダーとの信頼関係を構築するにあたり、株主からの期待を把握し適切に経営に反映させることが重要と捉えており、IR/SR活動について積極的に対応してまいります。(ⅰ)当社では、現在CFOがIR担当役員でもあり、グループのIR活動を管掌しています。また、IR・広報部を設置し、投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けるとともに、決算説明会を開催し、社長とCFOが説明を行っています。また株主との対話(面談)の対応は、代表取締役社長及びCFOが行い、IR・広報部がサポートしています。(ⅱ)対話を補助する体制としてIR・広報部が各事業部門及び管理部門と日常的な連携を図っています。(ⅲ)株主や投資家に対しては、決算説明会や事業説明会を開催するとともに、適宜、証券会社等が主催する国内外のカンファレンスへの参加のほか、投資家とのスモールミーティングを逐次実施しております。(ⅳ)IR/SR活動のフィードバックについて、定期的にCFOから取締役会に報告します。(ⅴ)投資家との対話の際は、決算説明会やスモールミーティングを問わず、当社の持続的成長、中長期における企業価値向上に関わる事項を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しています。
従業員持株制度
当社では、国内居住者向け及び海外居住者向け(対象:14カ国)の従業員持株制度を導入しています。従業員が自社株式を保有する機会を提供することで、経営へのオーナーシップ意識を高めるとともに、当社株式への安定的な需要確保や株式市場での流動性向上を図っています。また、奨励金の支給を通じて、従業員の福利厚生の充実にも寄与しています。
海外居住者向け持株会制度の
案内用Bookletの表紙(左)と中ページ(右)。
Bookletは各国の言語で用意しています。