統合報告書 2025

Sustainability:ガバナンス取締役・監査役からのメッセージ

当社の独立社外取締役及び監査役は、海外や日本を拠点とする数々の企業での豊富な経験や知識を有しており、PHCグループが持続的な成長を遂げていくための重要な役割を担っています。この度、当社の独立社外取締役3氏及び監査役3氏に、当社の強み・可能性や、ご自身のスキル・経験を通じて経営に活かせること等についてメッセージをいただきました。

イヴァン・トルノス

イヴァン・トルノス
取締役(独立社外取締役)

診断・ライフサイエンス領域への注力による持続的な成長を推進

PHCグループは、「中期経営計画2027」で診断・ライフサイエンス領域への注力を通じた持続的な成長の実現を掲げています。この「中期経営計画2027」の実現に向け、当社は、精緻な技術力とグローバルな事業基盤を活かし、患者さんの医療アウトカム向上に貢献できると考えています。私は社外取締役として、①グローバル市場のベストプラクティスの導入、②事業ポートフォリオの資本効率の改善、③施策の進捗を管理するKPIの設定という3つの視点で助言し、資源配分とガバナンスが両立する体制を監督しています。また従業員の多様な声を取り入れ、革新的なアイデアが継続的に創出される企業文化を支援しています。

今後も、ステークホルダーの皆さまと協力し、持続的な成長と新たな価値の創造に向けて取り組みます。「中期経営計画 2027」で掲げたサステナビリティ戦略の各取り組みも推進しつつ、毎期の進捗を定量的に確認し、より一層の透明性を高める経営体制を強化してまいります。

デイビッド・スナイダー

デイビッド・スナイダー
取締役(独立社外取締役)

取締役会のリーダーシップとポートフォリオ管理強化による持続的価値の創出

PHCグループの取締役会では、多様な専門性を活かした率直な議論を通じて、経営陣に対する監督と助言の最適なバランスを目指しています。毎年、取締役会の実効性評価がなされ、議事運営の透明性や意思決定プロセスを定量指標で検証しつつ、国内外のガバナンス先進事例を取り入れながら改善を続けています。2025年度は事業ポートフォリオ管理強化を重点テーマとし、ROICを軸に資本配分と成長投資の優先順位を明確化しました。さらに、外部有識者による第三者レビューを通じて、資料の質と提出タイミングを改善し、議論の時間をより多く確保しました。取締役会では、サステナビリティ課題やリスク許容度を見直し、グループのシナジー創出やM&A後の統合プロセスを丹念にフォローしています。今後もCEOと緊密に連携し、革新的な製品・サービスを通じて企業価値を高め、持続的な成長を実現してまいります。皆さまのご支援をお願い申し上げます。

山下 美砂

山下 美砂
取締役(独立社外取締役)

人・組織の強化と企業文化の醸成を通じ、企業価値向上に貢献

当社は1969年の創業以来、松下電器(当時)グループの一員として、精緻なモノづくりに端を発した長年の歴史を強みの一つとしています。また、多岐にわたるグローバル事業との融合によって、現在はヘルスケア分野の多くのステークホルダーに革新的な製品・サービスを提供しています。「One PHC」のもと、診断・ライフサイエンス領域を核としたシナジーの創出を促進し、豊かな社会づくりに貢献してまいります。取締役会では、後継者の育成計画やスキル・マトリクスのバランスなどを継続的に検証し、機動的なガバナンス体制を強化しています。私は指名・報酬委員会の委員長として、「中期経営計画2027」で掲げる人的資本戦略の進捗をレビューし、多様性と公平性の確保に取り組むことで、組織の活力向上を目指しています。さらに、部門横断での共創機会を増やし、新たな挑戦を評価する企業文化づくりの重要性を経営陣と共有することで、イノベーションの創出を推進しています。今後も、長年の歴史を誇る精緻な技術力と、それを支える人財の相乗効果で、会社と従業員双方の成長基盤を構築し、企業価値をさらに高めていく所存です。

吉光 透

吉光 透
監査役

当社の信用を守り、健全な成長に寄与する監査役として

常勤監査役就任から間もないながらも、2024年11月に発表された「中期経営計画2027」の成長戦略の深化と実現を、スピード感を持って進めたいという経営陣の強い想いを感じています。

私は前職の製薬企業において、取締役監査等委員を務めましたが、それ以前は新薬の臨床開発実務、研究領域戦略策定、研究開発PJや企業買収案件評価、長期(10年間)ポートフォリオ戦略策定、中期計画・年度計画の策定も経験し、成長戦略実現のためには経営層と事業現場の一枚岩となった実行が最重要と認識しています。

常勤監査役として問題事項の芽を事前に摘むための予防的監査を行うことで当社の信用を守る活動を行うとともに、経営方針と現場の実態に乖離がないかも注意深く確認し、単に問題点の指摘と是正の要請にとどまらず、経営陣と認識を合わせながら、真因の掘り下げや是正策のオプション出しと優先度の検討なども行い、当社の健全な成長の実現に貢献したいと考えております。

北川 哲雄

北川 哲雄
監査役(独立社外監査役)

「ヘルスケアの未来を切り拓くリーダー」となることを目指し、挑戦し続ける当社の経営にご期待ください

PHCグループが有する3つの事業ドメインは、技術革新や法規制、市場動向など、事業環境の急激な変化に直面しています。こうした変化に対し、「大きなM&Aを避け、自前で事業を進める」という漸進的なアプローチも考えられますが、当社は中期経営計画2027で掲げた収益性・効率性の経営目標達成へのスピードを加速させるため、M&Aを含む機動的な投資に挑戦し続けます。私は独立社外監査役として、ROICやキャッシュフローを注視し、事業投資・負債圧縮・株主還元の最適バランスを図る取り組みを株主の視点から監督しています。また、非財務情報の開示拡充に対応し、お客さま、株主・投資家、従業員を含むステークホルダーとのコミュニケーションを強化しています。投資及び開示の質を向上させるとともに、知見を蓄積することで、価値創造を加速させる好循環が実現できるものと確信しています。私は今後も独立した立場で、建設的かつ客観的な提言を通じて、当社が「精緻な技術でヘルスケアの未来を切り拓くリーダー」に近づけるよう、尽力してまいります。ぜひ、ご期待ください。

森山 裕紀子

森山 裕紀子
監査役(独立社外監査役)

法務の視点で支える健全で持続的な企業経営

2025年6月の定時株主総会を経て、独立社外監査役に就任いたしました森山裕紀子でございます。

PHCグループは、「精緻な技術でヘルスケアの未来を切り拓くリーダーとなる」というビジョンのもと、迅速かつ的確な経営判断を積み重ねてこられました。加えて、ガバナンス体制においても、多様な経験と専門性を有する役員が多角的な視点から助言と監督を行うことで、透明性と健全性を兼ね備えた経営が推進されていると認識しております。

私は弁護士として、企業法務、コンプライアンス体制の整備、ハラスメント対応、危機管理などに携わり、また他社の社外取締役(指名委員会等設置会社の監査委員)として、経営監督やガバナンス強化にも取り組んでまいりました。これまで培ってきた知見と経験を活かし、当社における監査機能の充実とガバナンス体制のさらなる強化に尽力する所存です。

PHCグループが法令順守と高い倫理観を基盤に、社会から一層信頼される企業として持続的成長を遂げられるよう、監査役としての責任を果たしてまいります。